人間・環境学研究科(人間社会論講座) 教授 吉田 純先生 | パソコンやインターネットに代表される情報化の急速な進展に、大学の研究・教育もさまざまな場面で対応を迫られています。このことは、いわゆる「理系」の世界だけの話ではなく、「文系」の学問も決して例外ではありません。たとえば私自身は全学共通科目の「社会学基礎論」および「経験社会学I」という授業を担当していますが、それらの科目では、数年前から、授業専用サイトで毎週の課題を提出してもらう「公開アサイメント」というシステムを導入しています。授業内容に関連した課題について、150~250字程度の小レポートを匿名掲示板システムで提出してもらうものです。このシステムの第一の特長は、受講生どうしが互いのレポートを閲覧できる点にあります。たとえば次のような感想がありました。「公開アサイメントというシステムによって、多くの人の意見を知ることができたのがよかったです。自分が考えていた社会と、他人が見る社会、そして大多数の人が見ていた社会とは必ずしも一致せず、日本という社会はいろいろな面があることがわかり、自分の考えも大分変化しました。」このように、「他者の視点」を知り自分の視点を相対化できるような場を設けることによって、「講義」という授業形式がもつ(教師→学生という)一方向性を補完することが、このシステムの大きなねらいです。また、このような講義形式の授業では、受講生どうしが匿名的な存在であることが、(互いの人間関係などの思惑に左右されない)自由な発想や発言を可能にするというメリットをもたらすことも、匿名掲示板システムを採用した理由のひとつでした。 ネット上で授業を補完するこうしたシステムは、ネット時代の新たなコミュニケーションの可能性を、大学教育という場のなかで探る試みでもあります。まだまだ未完成なもので解決すべき課題も多いのですが、新入生諸君ももし興味があれば、このような試行錯誤につきあっていただければありがたく思います。 | |